どーんと衝撃を受けた本を紹介します。
一番好きな作家といってもいい作家さんである伊坂幸太郎氏の「重力ピエロ」という名作があります。
強い家族の物語です。父と母と泉水と春の物語です。
面倒臭い人たちが面倒臭いことを言って批判するかもしれませんが(AMAZONレビュー参照)、Beansはこの物語が大好きです。
理不尽な出来事を受け容れた優しさが、優しさだけじゃなく、強さをみせる。
優しい人たちは、得てして損をしてしまいがちな世の中で、声を上げ、拳を振り上げ、不合理や完全なる悪と戦う。何が悪いんでしょう?憎まれっ子世にはばかる?冗談じゃない、そんな世の中はいらない。
この「重力ピエロ」は忘れられない作品です。
ついでに言うと「砂漠」も最高です。ああ、こんな友人が側にいたらいいのに、そんな風に思うのです。
で、重力ピエロを何度も読んでいるのですが、この作品には参考や引用した文献が最期に記されています。
そのうちの一つが、サイモン・シン氏の「フェルマーの最終定理」です。
元々数学が大好物だったこともあって、この本の世界にすんなりと入って行くことができました。
数学という学問の中で提示された一つの定理に対し、その正しさを証明するため、延々と続く努力の系譜。
その系譜を丹念に追い、言葉として表しているこの本を読むと、その長い長い時間の流れの中に身を置くことができます。ピュタゴラスが自然現象を支配する数学規則をはじめて明らかにしたことから始まって、フェルマー、そしてアンドリュー・ワイルズへと、多くの数学者の人生が繋がっていいきます。その様は壮大で、本当にロマンチックです。
数学者の人生を伝えることによって、数学の魅力がサンサンと輝くなんて、大きな衝撃を受けました。
公式や解き方ばかりを覚えるのではなく、この世界の現象や摂理なんかと、数学との間に横たわる関係に目を向けると、もっと数学に興味を持つ方が増えるのではないでしょうか。
もしも、若かりし頃、この本が教科書になっていたらと想像すると、数学の魅力を、さらにもっと感じられていたのではないかと思います。惜しいーーーー!
「アイキュロスが忘れ去られても、アルキメデスは記憶されているだろう。言葉が滅んでも、数学の概念は滅びないからである。「不滅」とは愚かしい言葉かもしれないが、それが意味するものになる可能性は、たぶん数学者がいちばん高い」
フェルマーの最終定理 第1章より引用 G・H・ハーディの言葉
Good day!