納豆は100回かきまぜろ!

管理人Beansの日記です

知らない人がやって来た!社外取締役だってさ

社外取締役を2名以上、選びなさい!

東京証券取引所が上場企業に対し、社外取締役を2名以上選任するよう促すことにした、というお話が日経に載っておりました。

日本経済新聞

そうなんですか、そんなことまで、規制しちゃうんですか、ご苦労様です。
 
でも、あの、そもそも

株式会社ってなんですか?

 株式会社って、会社法によって認められている概念的存在であるわけです。
すなわち会社法がなくなってしまうと、存在することができなくなってしまう、意外と脆さのあるものなんですが、この株式会社、法律はそもそも小さな資本をたくさん集めて、大きな会社をつくろうとしていて、その結果、会社経営はより適任な人間を広くから募集し選任することができるようにしています。
要するに、株主が議決権を行使して、この人が経営者でいいんじゃない、というようなことを会社ごとに決めていいよ、ってことになっているんです。

 

ビジュアル 図でわかる会社法 (日経文庫)

ビジュアル 図でわかる会社法 (日経文庫)

 

で、「この人」って、本来、株主が良いと思う人であれば、だれでも候補となりうるわけです。ただ「この人」を決める案を作っているのは、会社の取締役なので、取締役が「この人」にしようって案を作ってしまったら、たいてい取締役のいう「この人」に決まってしまうんですね。

 
最近大変なことになっているのは、大塚家具なんですが、親子骨肉の争い!なんていうのがニュースになっていて、解任された父親が自分を含む新たな取締役候補を株主総会に提案しているそうです。そしてProxy Fightへ突入!株主も困惑?
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http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-27/h27-2-17.pdf

ただ、父と娘の立ち振る舞いに着目すれば、断然、娘派ですよ、Beansは!

だって、記者会見見たら一目瞭然ですが、自分の周りに金魚のふんがいないと人前に立てない父親と、たった一人で勝負する娘さん、どちらが優秀か、いや覚悟があるか、よく分かると思うんです。

一般的に、会社のことをしっかり分かっていない人に限って、何かあると部下をぞろぞろ引き連れて、格好つけることが多いと感じております。

優秀な方は、そんなことしない。自分で物を考え、判断し、その責任をとる。記者会見の立ち振る舞いだけ見れば、娘さん一択でしょう!


大塚家具会長が会見 長女との間で解任し合う事態について説明(15/02/26) - YouTube

 


大塚家具社長が会長の父に反論 「組織全体が変わるタイミング」 - YouTube

 

大塚家具の取締役選任に関する問題提起は、第三者から見れば最高に面白いですね。株価もかなり上がりましたし、実は注目されることで、株主の利益になっているのかもしれませんし。

ないとは思いますが、一連の事象が壮大なエンターテーメント的な謀略の可能性も。

話が尽きなくなりそうです。ゆえ、この辺で大塚家具はおいといて、

 取締役って、株主総会で選任されれば、原則、誰でもなれるんですけどね。

 とはいっても、それなりに長い歴史の中で、取締役は従業員の中から選ぶっていう慣行が、どの企業にも根付いているような印象を受けるんですが、それって、昇進制度のGOALが取締役なんだからじゃないか、と思うわけですよ。 
ザ・ゴール

ザ・ゴール

 

 

いくら法が広範な人材から取締役を選任することを認めているといっても、実際どこにそんな優秀な人材がいて、声をかけたらすぐに会社のために働いてくれるというのか、そんなことは分らないわけです。

そうすると、どうしても身近な、あるいは、会社をよく知ってる、というようなファクターが重要視され、わが社一筋何十年というような人材が、取締役に抜擢されることになるんでしょう。そうして代表取締役を頂点としたピラミッドが構築され、YESということが大事な集団が形成されていくんだと推測するわけです。

でもね、会社法代表取締役一番偉いなんて規定していません。代表取締役が一番偉くて、取締役が家臣だなんていうのは、時代劇の見過ぎか、株式会社のことを何もしらない人達です。

 会社の最高意思決定機関は株主総会で、次に取締役会!

そう取締役は全員取締役会の構成員でしかなく、取締役会という合議体で、会社経営にかかる意思決定は多数の採決によって決まるのです。代表取締役がこうしろ、ああしろ、なんて取締役に命令するなんてことはそもそも予定されていないのです。

じゃあ、なんで代表取締役なんてものが 存在するのか?

 合議体だと、なにかと不便なんですよ。
例えば、取引先と契約する際、交渉する際などなど、いい歳をした取締役がぞろぞろ集まって動いてる様を想像するだけで、嫌になりますよね。小学生や中学生じゃあるまいし、「大勢でつるまないと、何もできませんか?あなたたち?」なんて言われかねないわけです。(大塚家具のお父さんはそう言われても仕方ない)
なので、取締役会の意思決定に基づいて、対外的に会社を代表する役割となる人が必要なんです。代表取締役はその必要性に基づいて定められているに過ぎないわけです。
 

 話を元に戻しますが、

 
取締役なんていうのは、本当は誰でもなれるって話で、社外取締役なんていう取締役をわざわざ定義して、それを2名以上選任してよ、なんていうことをあえて求めるのは、「ねぇ、なんでもっと制度趣旨とか理解しないの?もっと周りを見回してみようよ」、と言いたいところを、規制にしてやらんとあいつら分からへん、と言われてるに過ぎないんでしょうね。

 

なぜ、だれも私の言うことを聞かないのか?

なぜ、だれも私の言うことを聞かないのか?

 

 

でもね、今までの実務において、「誰か良い人いませんか?」という問いかけが簡単に行えなかったことや、会社と従業員が一体化する傾向、いわゆる属性ってやつ?、「我が社」は「私」と一心同体!と考える人が多かったのではないかということや、
会社は誰のものか?という議論もありますが、株主を他所にして、会社は取締役や従業員の身近なものとして捉えられていたことからも、社外から取締役を選任なんて、とても考えることが出来なかったのではないかと思います。
会社はだれのものか

会社はだれのものか

 

  

最近の社外取締役の状況は? 

三菱UFJ信託銀行のレポートによりますと、東証一部上場企業の社外取締役導率は2014年7月で74.3%まで上昇しているようですね。意外に高いですね。

2名以上の社外取締役導入が求められると、単純に考えて、社内から昇進できる取締役の人数が減少することになるんではないかと思うわけです。もちろん取締役の人数を増やして対応するのかもしれませんが、取締役が増加しても、船頭多くして船山に登るという諺もあるように、良いことはないように思います。

新明解故事ことわざ辞典

新明解故事ことわざ辞典

 

 取締役の人数が減少してしまうと、 昇進制度のGOALが減ることに繋がるので、社内の出世競争は一段と激しさを増すわけですが、社外取締役だけでなく、これからの取締役は、社内だけでなく、広く外部から求めることも当たり前というような感覚、いわゆる経営のプロに任せようということになれば、いきなり知らない人が取締役として外からやってくることも多々あると考えられるわけです。

例えば、サントリーの人事。

 

トップメッセージ サントリー企業情報

 新浪社長の出現に苦虫をかみつぶした取締役や従業員の方もいると思うのですよ。
体制丸替わり?もしかして?
そんなことだってあるわけで、これからは使用人(従業員)から取締役へ、という昇進ステップは 、必ずしも定型化されたルートでなくなりそうです。そうすると派閥競争がなくなるもしれません。無意味なんで。
大塚家具もプロの経営者を!という要望が他の株主からもしでてきたら、父も娘も「さようなら」ということになるかもしれません。
 
そうしたら、知らない人がやって来た!代表取締役だってさ!という話になるんでしょう!
 
Good day!